島津藩献上の鶏

「地頭鶏(じとっこ)」は、宮崎県・鹿児島県の旧薩摩藩領地で古くから飼育されていた日本の在来種で、羽色は白色や黒色など5種類がいます。
名前の由来はこの鶏を飼育していた農家の人達が、肉がきわめて美味しいことから、島津藩の地頭職に献上しているうちに、いつの頃からか「地頭鶏」と呼ぶようになったといわれています。
生産羽数が非常に少ないため、1943年(昭和18年)に国の天然記念物に指定されました。
この地頭鶏を宮崎県が独自の改良を重ね、その味を受け継いで食用鶏として誕生させたのが「みやざき地頭鶏」です。

みやざき地頭鶏
みやざき地頭鶏

きびしい飼育基準があります

「地鶏」を名乗るには本来、品種や飼育方法など一定条件をクリアしなければなりません。
これを定めたのが地鶏肉の日本農林規格(特定JAS)です。
宮崎県では「みやざき地頭鶏」の普及のため、特定JASにおける規格よりも厳しい飼育マニュアルを設定。当農場を含め、県内の生産農家一体となり飼育に当たっています。

飼育基準

特定JAS「地鶏肉」の定義 みやざき地頭鶏の飼養基準
素ヒナ 在来種由来の血液百分率が50%以上のものであって、出生が証明できるもの。 50%
飼育期間 ふ化日から80日間以上飼育していること。 オス120日、メス150日
飼育基準 28日齢以降平飼いで飼育していること。 平飼い
飼育密度 1平方メートル当たり10羽以下で飼育。 2羽以下
平飼いですくすくと育つ、みやざき地頭鶏
平飼いですくすくと育つ、みやざき地頭鶏

みやざき地頭鶏の血統

「地頭鶏」はもともと体が小さいうえに、育成率が低いという欠点がありましたが、県畜産試験場川南支場による交配や飼料の研究により、肉づきがよく、食味の優れた現在の「みやざき地頭鶏」が誕生しました。
具体的には前述した「地頭鶏」と、大型の「劣性白色プリマスロック」をかけ合わせた「F1」を父に、産卵率の高い「九州ロード」のメスをかけ合わせた三元交配方式でつくられています。
プリマスロック種のみ、ロード種のみでも大変美味しい鶏でありますが、それを掛け合わせることで、さらに上質な鶏が完成しました。

みやざき地頭鶏の血統

みやざき地頭鶏の炭火焼き。柔らかな歯応えに旨味がほとばしる
みやざき地頭鶏の炭火焼き。柔らかな歯応えに旨味がほとばしる

宮崎県が誇るブランド鶏です

みやざき地頭鶏は、特許庁の地域団体商標(登録第5315957号)として登録され、また宮崎県のブランド商品として認定されるなど、食の宝庫・宮崎県の代表的食材になっています。

「地鶏」というと「固い」というイメージをもたれる方もいるかもしれませんが、みやざき地頭鶏の肉質は柔らかく、かつ旨味があるのが特徴です。口に入れると、柔らかい歯応えのあとに、軽やかな香ばしさとともに、鶏本来の旨みが広がります。またモモやムネだけでなく、ササミ、砂肝などあらゆる部分が美味です。また肉を取り去った後の骨を煮込むと、コクと旨みが凝縮された最高の鶏ガラスープが完成します。

長い歴史と多くの人々の努力が作り上げた「みやざき地頭鶏」を当農場では、愛情と工夫をもって育て、皆さまにお届けしております。